歯周病を発症すると、口内に炎症や出血などが見られるようになり、重度の場合は強烈な口臭を放つこともあります。
またその影響は口内だけにとどまらず、全身の症状を引き起こすことも考えられます。
今回は、歯周病とアトピー性皮膚炎の主な関係について解説します。
全身的な慢性炎症の相互悪化
歯周病は、歯周病菌やその毒素によって引き起こされる口の中の慢性炎症性疾患です。
この炎症によって作られた炎症性サイトカインという物質が、歯茎の毛細血管を通じて全身の血液に流れ込みます。
アトピー性皮膚炎もまた、皮膚で慢性的な炎症が続く病気です。
血液中に流れ込んだ口由来の炎症物質が皮膚の血管に到達すると、皮膚の炎症シグナルをさらに刺激し、痒みや赤みを増幅させてしまうと考えられています。
つまり、口の中の未治療の炎症が、遠く離れた皮膚の症状を長引かせる隠れた原因になり得るということです。
逆に皮膚の激しい炎症が全身の免疫系を揺さぶり、歯周病の進行を早めるという双方向の悪影響も指摘されていて、双方の炎症を同時に抑えることが重要とされています。
免疫バランスの乱れ
アトピー性皮膚炎の主な原因の一つに、アレルギー反応を司るTh2細胞という免疫細胞の過剰な働きがあります。
近年の研究により、歯周病菌の一種が体内に侵入すると、このTh2細胞を優位にする免疫反応を誘導することが分かってきました。
通常、大人の身体は細菌に対して別の免疫ルートで対抗しようとします。
しかし歯周病による持続的な細菌刺激は免疫システムのバランスを狂わせ、アレルギーを悪化させやすいTh2優位の状態を作り出してしまいます。
結果として口の中の環境が悪化すると、体質的にアレルギーを抑制する力が弱まり、アトピー性皮膚炎の痒みや湿疹といった症状が誘発・増悪されやすくなります。
歯科治療で口腔内の細菌数をコントロールすることは、体内の免疫バランスを整えることにもつながります。
生体バリア機能の低下と細菌の関与
アトピー性皮膚炎の患者さんは、皮膚のフィラグリンというタンパク質などが減少することで、肌のバリア機能が著しく低下しています。
そのため、外部からの刺激や細菌が侵入しやすい状態です。
一方、歯周病が進行した口の中の歯周ポケットも、本来は細菌の侵入を防ぐはずの付着上皮というバリアが破壊され、常に傷口がむき出しになったような状態にあります。
このように皮膚と口腔粘膜という二大生体バリアが同時に崩れることで、身体全体の防御力が低下します。
さらに歯周ポケット内で増殖した有害な細菌やその代謝産物が、手や唾液、血管を通じて傷ついた皮膚に付着・到達すると、皮膚の二次感染や過剰な免疫応答を引き起こします。
これは、傷口の治癒を遅らせる直接的な要因になります。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・歯周病もアトピー性皮膚炎も、慢性的な炎症を引き起こす疾患
・歯周病による持続的な細菌刺激は免疫システムのバランスを狂わせ、アトピー性皮膚炎などのアレルギーを悪化させやすい
・アトピー性皮膚炎と歯周病を同時に発症すると、身体全体の防御力が低下する
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!








