歯周病を発症すると、口内において歯茎の腫れや出血、歯茎の不安定化による歯の脱落など、さまざまな症状に見舞われます。
またその影響は口内だけにとどまらず、歯周病が全身の筋肉や運動能力にまで及ぶことも考えられます。
今回は、歯周病と筋肉の主な関係について解説します。
運動後の筋肉修復、疲労回復の遅延
激しい筋力トレーニングや運動を行うと、筋肉の繊維には微細な損傷が生じます。
通常であれば、休息と栄養補給によって筋肉は元通り以上に修復されますが、歯周病があるとこのプロセスが妨げられます。
歯周病の慢性炎症に対抗するため、体内の免疫系やエネルギーは常に口内ケアに割かれていて、無駄なリソースを消費している状態にあります。
さらに、血流に乗って巡る炎症性物質が傷ついた筋肉組織の修復を遅らせ、疲労を長引かせることが分かっています。
いつまでも筋肉の疲れが取れなかったり、筋肉痛が長引いたりする場合、口内の炎症が足を引っ張っている可能性があります。
効率良く筋力を強化し、運動の成果を最大化するには、口内を清潔にして炎症を鎮めることが鉄則です。
嚥下筋の機能低下と誤嚥性肺炎のリスク
食べ物や唾液を飲み込む際、喉の周囲にある嚥下筋や舌の筋肉が協調して働いています。
高齢になり、全身の筋力が低下すると同時にこれらの嚥下に関わる筋肉も衰えていきます。
ここに歯周病が重なると、非常に危険な事態を招きます。
歯周病によって口の中で爆発的に増殖した細菌は、衰えた嚥下筋のせいで誤って気管から肺へと流れ込んでしまいます。
これが、高齢者の死因として上位を占める誤嚥性肺炎のメカニズムです。
私たちは1日に無意識のうちに約600回も唾液を飲み込んでいて、これは嚥下筋の貴重なトレーニングとなっていますが、その中身が細菌だらけであれば命に関わります。
口の筋肉を鍛えることと口腔ケアは、命を守る表裏一体の対策です。
筋肉の脂肪化の進行
歯周病の影響は、筋肉の量だけでなく質にも及びます。
東京医科歯科大学などの研究では、歯周病菌に感染することで筋肉の細胞内に脂質が蓄積しやすくなり、筋肉の脂肪化が進むことが分かっています。
霜降り肉のように筋肉の間に脂肪が入り込んでしまうと、筋肉の外見的な太さが変わらなくても、実際に発揮できる筋力は著しく低下してしまいます。
この筋肉の脂肪化は、脂質代謝の異常を招き、内臓脂肪の蓄積やメタボリックシンドロームを悪化させる原因にもなります。
質の悪い筋肉になってしまうのを防ぐためには、単に運動をこなすだけでなく、その代謝を狂わせるシグナルを発信している歯周病の巣を根本から取り除くことが不可欠です。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・いつまでも筋肉の疲れが取れなかったり、筋肉痛が長引いたりする場合、歯周病による口内の炎症が原因の可能性がある
・歯周病によって口の中で爆発的に増殖した細菌は、衰えた嚥下筋のせいで誤って気管から肺へと流れ込み、誤嚥性肺炎を引き起こす
・歯周病菌に感染することで筋肉の細胞内に脂質が蓄積しやすくなり、筋肉の脂肪化が進む
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!








