リスクファクターは、特定の疾患のリスクを高める要因です。
口内の代表的な疾患である歯周病にも、いくつかのリスクファクターが存在します。
またそんなリスクファクターの一つに、薬剤の一種である免疫抑制剤が挙げられます。
今回は、免疫抑制剤の概要やデメリットなどについて解説します。
免疫抑制剤の概要
免疫抑制剤は、体内で過剰に起こっている免疫反応、炎症反応を抑える薬の総称です。
主に自己免疫疾患や臓器移植後の拒絶反応の抑制、一部のがん治療などに用いられます。
また免疫抑制剤にはさまざまな種類があり、それぞれ作用機序や効果が異なります。
ステロイド薬の場合、炎症を抑える効果が高いため、自己免疫疾患やアレルギー疾患の治療に広く使用されます。
またカルシニューリン阻害薬は、移植後の拒絶反応や自己免疫疾患の治療に用いられます。
免疫抑制剤が歯周病のリスクファクターである理由
免疫抑制剤は免疫機能を抑制するため、使用すると歯周病菌に対する抵抗力が低下します。
そのため、歯周病菌が増殖しやすく、症状が悪化することが考えられます。
また一度の免疫抑制剤には、歯茎の腫れを引き起こすものもあります。
このような症状は、薬物性歯肉増殖症と呼ばれるものです。
歯茎が腫れるとブラッシングが難しくなったり、歯周病がさらに進行したりする可能性があります。
さらに、免疫抑制剤を使用することで、口腔カンジダ症を引き起こすケースもあります。
口腔カンジダ症は歯周病とは異なりますが、同じ感染症の一種であるため、歯周病の症状を悪化させる原因になり得ます。
免疫抑制剤におけるその他のデメリット
免疫抑制剤は、歯周病以外の感染症のリスクを高めるほか、臓器障害や特有の副作用が起こる可能性もあります。
臓器障害としては、腎機能障害や肝機能障害、膵炎などが報告されています。
また免疫抑制剤の種類によっては手足の震えや多毛、高血圧や白血球減少といった副作用が現れることもあります。
さらに糖尿病や骨粗鬆症、肥満や白内障、精神障害などを引き起こす原因にもなると言われています。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・免疫抑制剤は体内で過剰に起こっている免疫反応、炎症反応を抑える薬の総称
・主に自己免疫疾患や臓器移植後の拒絶反応の抑制、一部のがん治療などに用いられる
・免疫抑制剤は歯周病にかかりやすくなったり、症状を進行させたりすることがある
・免疫抑制剤は臓器障害や特有の副作用を引き起こすこともある
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!