歯周病はさまざまな合併症があることで知られています。
例えば糖尿病は歯周病と相関関係にありますし、心臓病や肺炎なども歯周病が原因で引き起こされることがあります。
また歯周病が原因で、物忘れが激しくなる可能性も危惧されています。
今回はこちらの詳細について解説します。
歯周病で物忘れがひどくなる理由
歯周病と物忘れがあまり結びつかないという方も多いかと思いますが、実際これらは深い関係にあります。
歯周病は、物忘れをはじめとする認知機能の低下につながることが、近年多くの研究で示唆されています。
歯周病は、口内で歯周病菌による慢性的な炎症を引き起こすものですが、この炎症が進行すると炎症物質が血流に乗って全身を巡ります。
これらの物質が脳にまで到達すると、脳の炎症を起こして神経細胞にダメージを与え、認知機能の低下につながります。
また脳に到達したジンジバリス菌という歯周病菌は、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドβを脳内に生成・蓄積させる作用があります。
咀嚼による脳への刺激が減ることも原因
歯周病が物忘れにつながる原因としては、前述したような炎症物質や細菌の働きだけでなく、咀嚼機会の減少も挙げられます。
歯周病が進行した方は、歯茎がブヨブヨになったり、歯が動揺したりします。
このような状態では、噛む力が極端に弱くなり、満足に食事を摂ることができません。
また噛む動作は脳の血流を促進し、神経を活性化させる効果がありますが、咀嚼機会が減るとこちらの刺激も減少します。
その結果脳の働きが低下し、物忘れなど認知機能の低下リスクが高まります。
歯周病による物忘れの特徴
歯周病が引き起こす物忘れの特徴としては、体験したことの一部ではなく、体験したことすべてを忘れるということが挙げられます。
例えば単に加齢が原因の場合、昼食を食べたことは覚えているものの、何を食べたか思い出せないということが多いです。
一方、アルツハイマー型認知症の場合、昼食を摂ったこと自体をすべて忘れてしまいます。
また物忘れをしているという自覚がなく、日常生活に大きな支障をきたすケースも多いです。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・歯周病を引き起こす炎症物質が脳に到達すると、物忘れがひどくなることがある
・歯周病菌は、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドβを脳内に生成、蓄積させる
・歯周病になると咀嚼の機会が減り、物忘れなど認知機能の低下につながりやすくなる
・歯周病が引き起こす物忘れでは、体験したことのすべてを忘れてしまう
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!