舌の汚れは、歯や歯茎の汚れと比べて軽視されがちです。
実際、歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシなどを用いてプラークを除去している方でも、舌磨きはおざなりになっているというケースが散見されます。
今回は、舌の汚れが虫歯を引き起こす意外な理由について解説します。
口呼吸による乾燥の悪化と酸の濃縮
日常的に口呼吸をしている方や、就寝中に口が開いてしまう方は、外気が直接口内に入り込むため、口の中が常に乾燥しやすくなります。
口腔内が乾燥すると、舌の表面にある突起が硬くなり、角質や汚れがこびりついて舌苔がさらに厚く形成されます。
水分が失われた口の中では、虫歯菌を抑える唾液の絶対量が不足するため、舌苔内の細菌はさらに活発化します。
また乾燥によって水分だけが蒸発すると、虫歯菌が作り出した有害な酸や毒素が薄まることなく、濃縮された状態で口腔内に残留することになります。
濃い酸が舌苔の周囲や歯の表面に停滞し続けることで、歯が溶けるスピードは速まります。
つまり口呼吸と舌苔の悪循環は、口の乾燥を招き、虫歯が多発する致命的な環境をつくり出すということです。
歯周病菌との共生によるバイオフィルムの強化
舌苔は、単一の細菌ではなく、虫歯菌や歯周病菌など多種多様な微生物が共生するバイオフィルムという強固な複合体を形成しています。
これら異なる種類の細菌たちは、お互いに代謝産物を融通し合ったり、外敵や薬剤から身を守るための粘液状の膜を共同で作ったりして、非常に強い抵抗力を獲得します。
特に歯周病菌が作り出す酵素や毒素は、口の中の組織を弱らせるだけでなく、虫歯菌が歯に付着するのを手助けすることが分かっています。
舌苔という守られた環境下で、虫歯菌と歯周病菌がタッグを組んで共生・進化を遂げることで、通常のブラッシングだけでは破壊できないほどタフな汚れへと変貌します。
この強固なネットワークが歯へと飛び火することで、虫歯の発生率が爆発的に高まる結果となります。
奥歯や歯間などブラッシングの死角への飛び火
舌は口の中で非常に自由に、そして大きく動き回る臓器です。
食事や会話の際、舌は前歯の裏側だけでなく、もっとも奥にある歯や、歯と歯の間の細かい隙間にも頻繁に接触しています。
もし舌の表面に大量の舌苔が付着していたら、舌が動くたびに、口の中のあらゆる隙間へ細菌を塗り付けるような結果になってしまいます。
特に奥歯の溝や、歯と歯の間、歯並びが悪い部分は、元からハブラシの毛先が届きにくく、汚れが溜まりやすいブラッシングの死角です。
このような元々リスクの高い場所に、舌の動きを介して毎日のように新鮮な虫歯菌の塊が擦り付けられれば、当然そこから虫歯が発生しやすくなります。
舌苔を放置することは、口の中のすべての死角に虫歯の種を蒔き続ける行為に他なりません。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・口呼吸と舌苔の悪循環は、口の乾燥を招き、虫歯が多発する致命的な環境をつくり出す
・舌苔と虫歯菌、歯周病菌が共生することで、通常のブラッシングだけでは破壊できないほどタフな汚れへと変貌する
・舌苔は、奥歯などの磨きにくい場所の虫歯リスクを高める原因にもなる
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!








