登山は古くから日本人に親しまれている趣味であり、健康のために行う方もいれば、単純に登頂時の充実感を味わうことが目的の方もいます。
しかし、健康的な趣味である登山には、虫歯のリスクが存在します。
今回は、登山が虫歯を発症させやすくする主な理由について解説します。
高カロリーな行動食の摂取頻度と質
登山では膨大なエネルギーを消費するため、バテないようにシャリバテ(低血糖)を防ぐ目的で、高カロリーな行動食をこまめに摂取します。
特に携行性が良く、すぐにエネルギーに変わるチョコレートやドライフルーツ、飴やエナジージェルなどは、糖分が非常に高く粘り気があって歯に付着しやすいのが特徴です。
これらを数十分おきに口にするダラダラ食べの状態は、口内を常に酸性に保ち、歯の表面を溶かし続ける原因となります。
山行が長時間に及ぶほど、再石灰化の時間が奪われ、日常生活では考えられないほどのスピードで虫歯が進行しやすい環境がつくられてしまいます。
激しい呼吸と脱水による口内の乾燥
標高が高くなるにつれて空気は乾燥し、急登などで息が上がると口呼吸が主体になります。
激しい呼吸によって口の中の水分が奪われるだけでなく、発汗による体全体の水分不足も加わり、唾液の分泌量が著しく減少します。
唾液には細菌を洗い流し、口内を中和する強力な自浄作用がありますが、口内がカラカラに乾いた状態ではその防御機能が全く働きません。
このドライマウスの状態で前述の糖分を含んだ行動食を摂取すると、細菌が爆発的に増殖し、プラークが歯に強固にこびりつきます。
天然のバリアである唾液が失われることが、登山中の虫歯リスクを押し上げる大きな要因です。
山小屋やテント泊でのケア不足
宿泊を伴う登山では、水が貴重なため、日常生活のようにジャブジャブと水を使って歯を磨くことが困難です。
山小屋によっては洗面所での歯磨き粉の使用を制限している場所もあり、心理的・物理的にオーラルケアが疎かになりがちです。
また登頂後の達成感や極度の疲労から、夕食後にそのままシュラフで寝落ちしてしまうことも珍しくありません。
睡眠中はただでさえ唾液が減るため、行動食の糖分が残ったまま眠りにつくことは、虫歯菌に絶好の繁殖機会を与えることになります。
「山の上だから仕方ない」という妥協が、下山後の深刻な虫歯トラブルを招くきっかけとなってしまいます。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・登山で行動食を数十分おきに口にするダラダラ食べの状態は、口内を常に酸性に保ち、歯の表面を溶かし続ける原因になる
・登山時は激しい呼吸と脱水により、口内が乾燥しやすくなる
・宿泊を伴う登山では、十分なオーラルケアが行われないケースも多い
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!








