歯周病は歯茎の腫れや出血など、口内にのみ悪影響を及ぼす疾患と思われがちですが、実際は虫歯以上に全身への影響が懸念される疾患です。
また歯周病を発症することにより、口内以外の皮膚にさまざまな症状が出ることもあります。
今回は、歯周病が皮膚に与える影響を中心に解説します。
歯周病が皮膚に悪影響を及ぼす仕組み
歯周病は歯茎の局所的な炎症だけでなく、身体全体の炎症反応を引き起こします。
こちらの炎症性物質が血流に乗って全身に運ばれると、皮膚の炎症を悪化させる可能性があります。
また歯周病の原因となる細菌やその毒素は、炎症を起こした歯茎から血管内に侵入し、皮膚の炎症に寄与することが考えられます。
さらに口内の慢性的な感染が免疫システムに過度な負担をかけ、皮膚症状として現れる自己免疫反応を起こすこともあります。
ちなみに歯周病菌がつくり出すヒートショックプロテインと、体内の細胞がつくり出す同種のタンパク質は似ています。
このことから、免疫システムが身体のタンパク質を誤って攻撃し、皮膚に炎症を起こすという説もあります。
歯周病との関連性がある皮膚疾患
歯周病と関連性のある皮膚疾患としては、まず掌蹠膿疱症が挙げられます。
こちらは手のひらや足の裏に水ぶくれや嚢胞ができる疾患で、歯周病や根尖病巣といった歯の感染症が悪化因子の一つとされています。
また歯周病を発症している方は、アトピー性皮膚炎の発症率や重症度が高いという研究報告もあります。
さらに、歯周病が乾癬の悪化因子になることも指摘されています。
乾癬は皮膚が赤く盛り上がったり、皮膚の表面がポロポロと剥がれ落ちたりと、皮膚の見た目に特徴的な症状が見られる疾患です。
歯周病による皮膚への影響を改善するには?
皮膚科で治療を受けているにもかかわらず、なかなか皮膚の症状が改善しない場合、歯周病が原因の可能性があります。
そのため、一度歯科クリニックで診てもらいましょう。
また歯周病が原因と判断される場合、進行度に応じて基本的な治療や外科的な治療を受けなければいけません。
さらに、毎日のブラッシングや定期検診により、歯周病菌の増殖を防ぐことも大切です。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・歯周病によって増殖する炎症性物質は、血流に乗って全身に運ばれ、皮膚の炎症を悪化させることがある
・歯周病と関連性のある皮膚疾患には、掌蹠膿疱症やアトピー性皮膚炎、乾癬などがある
・皮膚科で治療を受けているにもかかわらず皮膚の症状が改善しない場合、歯周病が原因の可能性がある
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!