矯正治療を受けることにより、口元の審美性はアップしますし、虫歯や歯周病などの疾患も予防しやすくなります。
その他、全身の健康にもつながる可能性もあり、乗り物酔いをしやすい方は症状が軽減されると言われています。
今回は、矯正治療が乗り物酔いの改善につながる仕組みを中心に解説します。
〇噛み合わせの悪さが乗り物酔いにつながる仕組み
乗り物酔いは、耳の中にある平衡感覚をつかさどる神経である、前庭器官の中にある耳石と三半規管が関係して起こるものです。
耳石と三半規管が乗り物の加速度や揺れを感知し、こちらの情報と目から入ってくる情報に差が出ると、乗り物酔いが発生します。
また過蓋咬合の方は、より乗り物酔いのリスクが高くなります。
こちらは下顎の動きが妨げられ、常に後ろに押されているような形になるからです。
あまりピンと来ない方は、顎と舌を少し後ろに引いてみましょう。
ずっとその状態をキープしていると、徐々に気持ち悪くなってくるかと思います。
さらにその状態で車や電車に乗ることを考えると、ほぼ間違いなく乗り物酔いになることが想像できるでしょう。
そのため、過蓋咬合の方は乗り物酔いのリスクを減らすために、矯正治療を受けて歯並びや噛み合わせを改善する必要があります。
〇過蓋咬合には他のデメリットも
過蓋咬合は噛み合わせが深いため、奥歯への負担が強くなり、擦り減りが激しくなってしまうおそれがあります。
また下の前歯が上の前歯に食い込むようになっているため、上の前歯が押し出されて出っ歯になっていくことも考えられます。
さらに顎関節症を発症するリスクや、装着している詰め物や被せ物が外れるリスクも高いです。
〇矯正治療を受けても乗り物酔いが治らない場合
過蓋咬合の矯正治療を受けたにもかかわらず、頻繁に嘔吐するほどひどい乗り物酔いを繰り返す場合は、歯科ではなく耳鼻科やめまい外来を受診しましょう。
乗り物酔いには内耳と脳が深く関わっていて、これらの器官に異常があると、めまいやふらつきが起こって乗り物酔いにつながります。
また低血圧の方やぜんそく、アレルギーを持っている方も、乗り物酔いを引き起こしやすいと言われています。
〇この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・耳石と三半規管が乗り物の加速度や揺れを感知し、こちらの情報と目から入ってくる情報に差が出ると、乗り物酔いが発生する
・過蓋咬合の方は下顎の動きが妨げられ、常に後ろに押されているような形になるため、乗り物酔いをしやすい
・矯正治療を受けても乗り物酔いが治らない場合、耳鼻科やめまい外来を受診すべき
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!